masami71の日記

熊本市在住の72歳の年金暮らしです

ラジオ文芸館 「尾瀬に死す」

今日も寒い朝でしたけど、昨日ほどでなく最低気温は氷点下0.2度でした。
最近は東京都知事選の話題で盛り上がってますけど、細川氏出馬に大臣が
批判してますけど、資格があれば誰が出馬してもいいのでは。
「殿ご乱心」とか、卑怯とか、見苦しいですね。小心者です。
さて、今朝のラジオ文芸館は「尾瀬に死す」でした。
実は最初の部分は聞き逃しました。
以前NHKドラマであった作品です。

尾瀬に死す」作:藤原 新也
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私は、中学校時代の親友の一人・倉本洋司から一通の手紙を受け取る。
そこには、倉本が妻殺しの容疑をかけられ、現在、裁判中であることが
書かれていた。
倉本はガンで余命4か月の妻・芳子とともに尾瀬を訪ねたが、その際、
芳子は容体が急速に悪化して死亡した。
倉本は殺人の容疑をかけられた。長い裁判の末、倉本は無罪を勝ち取る
のだが、芳子はどのようにして死んだのか。
人はどのようにして自らの死と向き合うのか…。 

語り:清水 紀雄
コスモスの影にはいつも誰かが隠れている (河出文庫)
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1993年10月に起きた事件で、殺人の容疑をかけられた友人(倉本)
から手紙が届く。不治の病に冒された妻にせがまれ、倉本が妻に
プロポーズをした想い出の尾瀬に、倉本夫妻は二人きりで出かける。
妻は倉本が少し目を離したスキに容態が急変し死亡する。
偶然が重なり状況は倉本に不利だ。
倉本は「私」に証人として証言して欲しいと依頼するが・・・・・。

藤原氏の友人の実話だそうだ。その友人夫婦の奥さんは末期がん。
ガンで余命4カ月を宣告された妻が夫に「尾瀬に行きたい」と言う。
尾瀬は2人の思い出の地だった。休み休みしながら、尾瀬に着いた夫が
歩道脇にあったナメコをを採って妻のもとに戻ると、彼女はこん睡
状態だった。携帯電話のない時代。
自分のからだに縛り付けておぶって2時間かけて病院に運んだ。
苦労の甲斐なく妻は息を引き取る。
縛ったことによる外傷で,警察は司法解剖を要求したが、夫は拒否する。
これが心証を悪くしたこともあって、妻の首に残っていた外傷を理由に
夫は殺人容疑で逮捕されてしまう。
妻の首に巻いた紐は頭を固定させるためのものだった。
夫は冤罪裁判を最高裁まで争うことになる。
一審の結果は懲役18年の有罪。筆者である藤原氏は、その友人に
頼まれて証言台に立つ。
証言内容は、「彼はそんなことをやる人間でない」。
二審で懲役10年に減刑となる。

最高裁の判決前に夫はもう一度尾瀬を訪ねる。
妻の線香をあげ、目を瞑って拝んだときに何かを訴えかけるような
妻の面影を見る。
最終陳述前に妻の夢を見た。魔法瓶を夫にしきりに差し出している。
どういうことだろうか?彼は妻の実家に行き、遺品となった魔法瓶を
手に取る。
振るとカサカサと音がした。
なにか入っているが、内容物は引っかかってでてこない。
分解して開けてみた。遺書だった。
最高裁で筆跡鑑定の末、遺書が本人のものであることが実証された。
夢に出てきた妻に導かれて、みごと無罪を勝ち取った。
司法解剖をしていないので死因は不確定なるも、自分で睡眠薬を服用
したらしかった。
遺書には自分が尾瀬で死ぬことを選んだことと、夫への感謝の気持ちが
綴られていた。
”真実は小説より奇なり”って、こういうことを言うのだろうか。