masami71の日記

熊本市在住の68歳の年金暮らしです

宮部 みゆき 作「てんびんばかり」

今日は暖かい朝でした。
今朝はNHKのラジオ文芸館がありました。
江戸時代も今も庶民の暮らしは喜怒哀楽に満ちている。
どっちかといえば、「哀」のほうが多いかもしれないのも今と同じ。
かといって悲しくてつらいばかりではない。
むしろ強引にでも生活の張り合いを見つけてたくましく生きていく。
それが庶民なのだ。作者の、庶民のたくましさを鋭く描写してる。
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「てんびんばかり」   作:宮部 みゆき

2012年5月5日放送のアンコール。
幼い頃から同じ長屋で姉妹のように育ったお吉とお美代。
二人の生活が壊れたのは、お吉が十六、お美代が十五の時である。
水害と流行り病など様々な災危が立て続けに襲い、双方の両親が次々に他界。
二人は裏長屋で肩を寄せ合うようにして同居することになる。
ところが、二十歳を過ぎたころ、お美代に降って湧いたように大きな料亭から
縁談が持ち込まれ、後添いに入ることになる。

語り:入江 憲一
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姉妹のようにして育ってきた二人の娘が、一人は大店の後添いとなり、
一人はそれに嫉妬していくということを筋立てにして、大店に嫁いだ娘も不義の子を
身ごもったり、嫉妬していた娘も結婚して住み慣れた長屋を離れていくことになったり、
人の運命というのがほんの少しのところで変わっていくということを、女性同士の
嫉妬心や友情の姿として描き出したものである。

元は仲の良いお隣同士だった家族が、家事や災害、病気などで両親達が死んでいき、
娘同士だけになってしまった。
二人は一緒に住んで「いつか二人で飯屋をやろうね」と姉妹として貧しいながらも
暮らしていた。
ところが突然、いつも主人公の「姉」の背後に隠れてもじもじしているような
内気な「妹」の方が、老舗の大店の主人に見初められて後添いにと望まれる。
そこで「妹」が一言でも「私だけ幸せになんてなれない」のようなことを言っていたら
主人公は「バカ言ってんじゃないよ!」と心から祝福して送り出せたのに
「妹」は突然の幸運にぽーっと浮かれて舞い上がったまま。
大店ではやもめ主人の突然の再婚で大もめ。「身内がいたら困るんだ」と
主人公の「姉」は二度と彼女に近付くな、まで言われるのに、
「妹」はぼーっと浮かれたままはしゃいで嫁いで行ってしまい
お祝いに配られた紅白餅を、主人公の「姉」はただ置きっぱなしにして
カビだらけになるまでそのまま見ていただけだった。
貧しい暮らしで、食べ物を粗末にしたことなどなかったのに「姉」は餅を捨ててしまった。

しばらくして、長屋の差配人の所に「妹」が遊びに来た。主人公はそれを聞きながら
仕事が忙しい、とあえて帰らなかった。
夜になって差配さんに呼ばれて行くと、「妹」が妊娠したのだが、それは旦那の子ではなく
店の使用人の子供であることを相談されたのだと聞かされる。
その夜から、主人公は自分が大店に乗り込んでいって、「妹」の旦那である主人に
「子供はあんたの子じゃない」と告げ口して高笑いをする醜い自分の夢を見続ける。

勤め先の蕎麦屋の弟子が独立することになり、主人公は「一緒に来て欲しい」と求婚され
条件に「ここから遠い場所に店を構えてくれるなら」と承諾する。
「妹」は結局嫁ぎ先に自分の居場所がないことに気付いて、店の使用人と浮気。
でもそのまま偽って生きていくのだろう。
そして主人公は醜い自分の心を実現しないように遠くの場所へ行こうとする。