masami71の日記

熊本市在住の68歳の年金暮らしです

ラジオ文芸館 その日のまえに

今朝のラジオ文芸館。 知人の死。友達の死。家族の死。
それぞれの人が身近な人の死を通じて死という事を感じ、考える短編集。
ひこうき雲』 小学校6年生の時に、クラスメートが病気で入院をしてしまった勉(ベン)君の物語。
『朝日のあたる家』 夫を亡くした教師“ぷくさん”と、彼女のかつての教え子の物語。
潮騒』 昔クラスメートを溺死で失い、そして自分の余命が短いと告知されたサラリーマン“シュン”の物語。
『ヒア・カムズ・ザ・サン』 母1人、子1人の2人暮らしの幸せな家庭に告げられた母の病気に悩む“トシ”くんの物語。
その日のまえに』 妻、和美の余命があとわずかと知り、二人が初めて暮らした街にでかける夫婦の話。
『その日』 とうとう妻、和美の人生最後の日を迎えてしまう夫と息子達の話。
『その日のあとで』 妻、和美を失った後の残された夫と息子達の語。
この本は『青少年読書感想文全国コンクール 高等学校の部』の課題図書に選ばれています。


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その日のまえに』 作:重松清
2013年8月24日放送のアンコール。
イラストレーターの主人公は、妻の和美と私鉄の湾岸線に乗り、20年前、新婚当時住んでいた町に出かける。
和美は、重い病で余命を告げられ、外泊許可を取った上での覚悟の「旅」だった。
18年ぶりに訪ねた町は、下町の風情からおしゃれな街へと変貌していた。
最後の外出になるかもしれないなかで、和美が、結婚生活をスタートした町を訪ねてみたいと強く希望した思いは何だったのか、町の変貌ぶりと重ね合わせながら描く。

語り:山下 俊文
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最期のときを過ごす人を前に、生きる意味と幸せ、死を見つめる人々を書いた連作短編集。
どの話も感動的だし、「その日〜」の3部作の中には前半の4作品に登場した人々のその後が書かれていて、
それがとても切なく涙を誘います。
人が亡くなることは身を切られるように辛く、まして自分が死に直面するとなれば、その苦しさは如何ばかりでしょう。
どんなに納得いかなくても、理不尽だと泣き叫んでも、「その日」はいつか必ず訪れる。
だからこそ、私たちは「その日のまえ」の日々を大切に生きていかなくてはいけないのだな、と思います。

新婚当時に住んでた2階建てのアパートをもう一度見たい、と言う和美との最後の小さい旅。
住んでた町の駅は、以前は急行も止まらない鈍行の駅だった。
そこの駅にはむかし、駅長のまねをする少年がいた。
駅から歩く途中で和美は気分が悪くなり、カフェで休憩する。
新婚当時の主人公は無職で、アパートを借りる時、契約は和美でないといけなかった。
今でもあるかなと心配しながら来た二人は、アパートがあったのにほっとする。
でも和美は、お気に入りだった出窓に、何も飾ってなかったのが不満だった。
和美はそこに住んでてた201のポストに、自分が住んでたことをメモして入れた。
そこのポストはふたりの名前が書かれてた。
駅に戻り、電車に乗った時に、プラットホームの端に駅長のまねをする少年を見た。
少年は透きとおっていた。