masami71の日記

熊本市在住の68歳の年金暮らしです

ラジオ文芸館 「猪鹿蝶 」

今朝は良く冷えて、熊本で3.9度でした。
菊池市で0.9度、南小国で氷点下1.4度、阿蘇市で氷点下1.8でした。
今日のラジオ文芸館は「猪鹿蝶 」で、電話の中でのお話でよく理解できないと思います。
私は本を読みましたけど、一度で理解できませんでした。
茶会の専門用語や和服の種類・用語など難しいです。
それに志貴子の京都弁も読み辛いいです。
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猪鹿蝶   作:久生 十蘭(ひさお じゅうらん)
「いつお帰りになって?昨夜?よかったわ、間にあって…」
いきなりかかってきた電話。
まくしたてるように始まったのは、あの女の話。10年前、いやな男につきまとわれて、死んだフリをして大阪に引っ込むことにしたから、ひと芝居、偽の葬式に付き合ってくれと、あれほど頼んだあの女が、ひょっこり東京に姿を見せたという。
しかも、そのいやな男と既に偶然に出会ってしまったという。
いったいどういうことなのか?よくよく話を聞いて行くと…。
その女は本当にあの女なのか、それともよく似た別人なのか?謎は深まるばかり。
電話のひとり語りのみで構成される、挑戦的なスタイル。
久生十蘭の計算され尽くした短編の美技を朗読で味わう。
語り:大沼 ひろみ
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志貴子はいやな男につきまとわれて、自分は死んだことにして引っ越してしまった。
その時、「私」や咲子や親族を巻き込んで葬式もしたのです。
その相手の男は木津という名前です。
時が立って、「私」は友達の咲子に志貴子と木津の再会話を憤りながら電話で話した。
志貴子は実は最近木津に偶然会って、志貴子は急いで逃げて、お寺の潜り戸が開いてたので墓地に逃げ込み、木津は見失い志貴子を亡霊と錯覚したのです。
「私」は茶会をパーティをすると言って志貴子を呼び出し、木津との再会場面を作り出し、場違いのドレスで現れるものと思っていたら、ふしぎと「私」としかもそっくりの和服で現れたのです。
あたしと同じ鶸茶の吉野で、すらりとした着付なんだから、さすがのあたしも、あッといったわ……まァお聞きなさいよ。
デッサンはちがうけど、帯はマアベルのゴブランで、帯止は沈香の花鏡の透彫りというのは、いったいどういうことなんでしょう……
へんだわどころの話ですかそれに、志貴子は木津との再会がまんざらでもなさそうな風情に「私」は釈然としない。
あれほど嫌っていたのになぜ?

すると志貴子は、シナシナとしながら木津さんの前へ行って、
「木津さんとちがいますか。うち、志貴の妹の志津子ですのン。何年前でしたか知らん、いちど神戸でお目にかかってます」
てなことを言って、お辞儀をしたもんです。
「こない言うと、けったいな思われるでっしゃろ。うちあけたところをお話しますが、じつはふしぎなことがありますの。
はっきりした日にちはわかりまへんが、一年ぐらい前から、うちの身体に、ときたま、けったいな変化が起るのんですが、そのあいだ、辛ろうて辛ろうて、息もでけんようになるのんです。
変化いうたら大袈裟か知らんけど、なんということもなく、うちの好みが変ってしまうのんです。
いままで好きやった着物の色目や柄が、急に見るのんも嫌ァ思うようになったり、口の端にも寄せられなんだ食べもんが、むしょうに慾しィになったり、顔つきや声まで変ってしもて、べつな人間のようなことをやりだしますねんわ。
はじめのうちは月に一度ぐらいやったのんが、だんだんはげしくなって、五日に一度ぐらいの割合ではじまるようになりましたさかえ、生国魂はんの巫女さんに見てもらいに行きますと、
「あんたには、急な病で死ィとげた、肉親の女のひとがついている。そのひとは、現世で仕残したことがあるのんで、それがあきらめきれんで、あなたの身体に憑りうつって、現世のいとなみをしやはるねん」って……そないに言われると、思いあたることがあるのんです。ときどき変る、着るもんや食べもんの好みは、そういえばみィんな姉の好きやったもんで、その何日かの間は、知らず知らず、姉になった気ィで行動していたように思われますねん……
「私はしずこで、しきこの妹です。時々姉が私に乗り移っているみたいなんです。姉がこの世でやり残したことを私の身体と心を貸してやり遂げさせてやりたいと思ってるんです」