masami71の日記

熊本市在住の68歳の年金暮らしです

「青いエグジット」  作:石田 衣良

熊本市の今朝は、昨日と違って、曇り空で4.6度と平年より高い気温になってます。
今朝のラジオ文芸館は、短編集の「約束」には七つの物語が収められていて、
「青いエグジット」はその二番目の作品です。

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「青いエグジット」  作:石田 衣良
谷口謙太郎は、40代半ば。妻と19歳の息子清人との3人暮らし。
リストラで、本社に2度と戻ることのない研修センターに送られている。
清人は中学3年からひきこもりになり、3年ぶりに外出した日に事故で左足切断、車椅子の生活に。
我儘放題で親に辛辣な言葉ばかりを投げつける清人
ある日、久しぶりに家族で出かけた商店街で清人はダイビングのポスターを見つける。
青い海に浮かぶ片足のダイバー。
清人はダイビングをやりたいと言い出し、謙太郎は苦しい家計の中、新たなローンを組んで道具を買い揃え、スクールに通わせる。
そこから清人は変わっていく。そして初めての海でのダイビングに挑戦した後、清人は語り始める。
その言葉を受け止めた謙太郎は…。
語り:森田 美由紀
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もうこれから自分にはいいことはやってこないのだ。
そう覚悟を決めて、謙太郎は八方ふさがりの人生を受け止めていた。
謙太郎の顔からは表情が消えていった。
声を出して笑うことも、涙を流すこともなくなった。
能面のような顔でリストラ研修を受け、家に帰って息子から能なしといわれても表情を変えることはない。  
妻の真由子は女らしい丸い心を削られて、おどおどと息子の機嫌ばかりとるようになってしまった。

引きこもりの末、車椅子になった息子。
父親は会社で本社からリストラ研修に出されている。
八方塞の状態で疲れきっている母親。
我儘放題の息子のいうままに、両親は振り回されている。
ある日、ラーメンを食べた帰りに、本屋の前で一枚のポスターを 長男が見つけました。
ダイバーは彼と同じく 片足が太ももからありませんでした。
一枚のポスターに惹かれ、息子は欲しいと言い出します。

自分からは何一つ欲しいと言わない彼の要求に 父親は本屋に入り 頂けないかと交渉します。
ダイバーの雑誌に付録で付いているとかで、その雑誌を買い 長男に与えます。
長男は ダイバーに関する すべての本を買ってきて欲しいといいます。
たくさんの入門書などを読んで 長男は「自分も 海に潜ってみたい」と言います。
父親は ダイバーの訓練をしているところに 障害があっても引き受けてくれるか電話をかけるのですが 17件目でやっと 見つけることが出来ました。
苦しい家計の中で、ローンを組んで道具を買い込み、スクールに通い始めさせる。
ダイビングに興味を示した清人
足が不自由でも快く受け入れてくれたインストラクター笹岡との出会いを通して、清人は明るさを取り戻していきます。
訓練も順調にすすみ、彼はみごと合格します。
海の中では 片足がなくてもほとんど関係なく、彼は生きる喜びを見出し 両親にも 海の底から 白い貝殻をおみやげに持ち帰り 感謝の気持ちを表します。
「あのポスターは不思議だった。海の中に青い出口があるなんてさ。でも、いまは違う。
僕も出口をみつけたような気がするんだ。青い扉がほんの少し開いたのかなって。
まだまだ外の世界が怖くて悲鳴が出ちゃいそうだけど、これからはなんとか外の世界に出ていくようにするよ。
ブルーエグジット」 ダイバーが海の中から浮かび上がってくる 「青い出口」のことです。
父親も自分もダイバーの資格をとって 長男とともに海に入ることを決心します。
ダイビングの海洋講習後、息子は初めて足の事故について両親に口を開く。
あれは事故ではなく、自殺だったのだと。