masami71の日記

熊本市在住の72歳の年金暮らしです

童謡「赤い靴」の謎

童謡は子供の情緒的感性を育むための愛唱歌、おおいなる教育的目的を持っている。
美しい日本語を残す意味もある。
だから、子供に童謡の生まれた背景や真実を教える必要はない。
そのままに歌ってもらえばいい。
だが、大人になったなら、その真実を知ると言うことも時に必要だ。
子供の時のイメージと大人になってからのイメージが変わったとしても。
童謡の作詞家でもあった野口雨情にもそれが覗える。
彼の作詞した「赤い靴」にも哀しい事実が隠れている。
異人さんに連れられて行った、というから人買いの話かと思っていたが、事実は違う。
きみちゃんという幸薄い少女の話。

生活苦から母親はきみちゃんを帰国間近のアメリカ人宣教師に養女として出す。
母はその後、再婚するが養女に出した娘のことが忘れられず、雨情にその話をした。
それをモチーフに生まれた詩がこれであった。
母はずっとアメリカで暮らす娘を思ってこの歌をうたっていた。
ところが事実は違っていた。
きみちゃんはアメリカにわたる直前、結核に冒される。
長い船旅に耐えられないという判断をした宣教師は孤児院に預けて旅立っていた。
残されたきみちゃんはその孤児院で9歳の命を終える。
雨情もきみちゃんの母もその事実を最後まで知らなかった。
東京の麻布十番の商店街に行くときみちゃんの銅像がたっている。
孤児院は麻布にあったからで、後年になって童謡の赤い靴を記念して建てられたのであった。
だが、最近となってこの話も嘘ではないかと言う説が出ている。
きみちゃんは最初から孤児院に預けられていて、アメリカ人宣教師は関係ないとか、野口雨情は社会主義詩人で赤い靴は赤い国の共産主義を象徴した歌だとか、と主張する人もいる(永六輔)。
そこまで話を膨らませると、ちょっといき過ぎだろうと感じる。


1. 赤い靴(くつ) はいてた 女の子
   異人(いじん)さんに つれられて 行っちゃった
2. 横浜の 埠頭(はとば)から 汽船(ふね)に乗って
  異人さんに つれられて 行っちゃった
3. 今では 青い目に なっちゃって
  異人さんの お国に いるんだろう
4. 赤い靴 見るたび 考える
  異人さんに 逢(あ)うたび 考える
5  生まれた 日本が 恋しくば青い海眺めて ゐるんだらう
   異人さんに たのんで 帰って来(こ)