2019/4/12 08:004/12 11:58updated c株式会社熊本日日新聞
復旧工事が進む南阿蘇村立野の大規模土砂崩れ現場。
JR豊肥線は山沿いの国道57号と並走している。
左は大津町の肥後大津駅方面=3日(横井誠)
熊本地震で被災し不通が続くJR豊肥線の肥後大津-阿蘇駅間(27・3キロ)が、2020年度中に全線で運転再開する見通しとなったことが11日、分かった。
国土交通省などの関係者によると、熊本県南阿蘇村立野の大規模土砂崩れの復旧工事を19年度末にほぼ終え、現地を鉄道復旧の工事用道路や資材置き場として活用する。
JR九州や県と最終調整している。
16年4月16日の熊本地震の本震で発生した大規模土砂崩れで、鉄道と
国道57号が寸断され、阿蘇大橋も崩落した。
その後の豪雨も重なり、同区間で土砂流入や落石など51カ所の被害が確認された。
JR九州は17年4月から同区間の復旧工事に着手。
土砂崩れ現場以西にある立野─肥後大津駅間を先行して工事を進め、立野駅のホーム修繕や沿線ののり面復旧など23カ所で工事を終えていた。
国交省とJR九州、県は今月10日、3者の連携強化に向けた同区間の「復旧連絡協議会」を設置。
県が立野地区で実施する砂防や治山などの関連事業と同時進行で迅速に進めるため、土砂崩れ現場を活用することなどを確認した。
この結果、20年度の全線再開の可能性が出てきた。
復旧費については、JR九州が改正鉄道軌道整備法の活用を目指しており、適用されれば国と地方自治体が復旧費の4分の1ずつを負担することになる。
沿線自治体などは国や県に地元負担が生じないよう求めている。
20年度にはこのほか、寸断された国道57号の北側復旧ルート(阿蘇市─大津町、約13キロ)や崩落した阿蘇大橋の下流に建設中の新阿蘇大橋(南阿蘇村、345メートル)も開通予定。
阿蘇地域の交通インフラ復旧が大きく前進することになる。(嶋田昇平)