masami71の日記

熊本市在住の72歳の年金暮らしです

熊本市動植物園、再開


2017年02月23日 22時41分
フェリックスとともに再開の日を待つ松本さん(15日、熊本市動植物園で))

熊本地震の影響で昨年4月15日以降、休園していた熊本市動植物園(東区)が25日、約10か月ぶりに再開する。
動物を紹介する看板を手作りする職員たち(17日、熊本市動植物園で)
地震で園内各所で地盤沈下液状化が起き、獣舎が損壊したライオンなど猛獣はほかの動物園に移送された。
当面は土日祝日限定で、敷地全体の4割程度に限った部分再開となるが、動物たちの世話を続けてきた職員たちは
「元気な動物たちに会いに来てほしい」と来場を呼びかけている。
「やっと動物園に子供たちの声が戻ってくる」。
今月15日、同園獣医師の松本充史あつしさん(44)は、ミミナガヤギの「フェリックス」を優しくなでた。
地震が起きた時、生後1か月だったフェリックスは体長約90センチ、体重20キロにまで成長した。
昨年4月14日、松本さんは園内の飼育管理センターで、フェリックスに哺乳瓶でミルクを与えている時に前震に遭った。
センターの外は、地割れから水が噴き出し、園路は波打っていた。
余震のたびに、動物たちの鳴き声が園内に響き渡った。
16日の本震で被害は拡大した。

動物を紹介する看板を手作りする職員たち(17日、熊本市動植物園で)

猛獣舎のオリと壁に隙間ができ、ライオンやアムールトラなど5頭は、福岡、大分県の動物園に移送された。
給排水管が損壊したため、職員たちは近くの湧水地と同園を軽トラックで何度も往復して、動物の飲み水や獣舎の掃除に使う水を確保した。被害額は8億7500万円に上った。
動物たちにも異変が起きた。
オナガザル科のアンゴラコロブスは地震に遭った時にいた寝室で餌を食べることを嫌がり、チンパンジーも同じように個室に入ることを拒んだ。
獣医師と飼育員が話し合い、餌を与える場所を変えたり、少しずつ個室に入れる時間を長くしたりするなど工夫し、動物たちも徐々に落ち着きを取り戻した。
獣医師の上野明日香さん(38)の発案で、昨年4月23日から始めたブログ「動物だより」は、今月21日までに149号に達した。
ワオキツネザルの引っ越しやマレーグマの誕生日など、動物たちの様子を写真を添えて伝え、市民らから「動物たちが元気そうで安心した」などの声が寄せられた。
昨年5月下旬に始めた「移動動物園」では、小学校や幼稚園など35か所を訪れた。
動物たちとの触れ合いで笑顔を取り戻した子供たちを見るたびに、松本さんは「一日も早く再開したい」という思いを強くしたという。


部分再開は土日祝日の午前9時〜午後5時で入園料は無料。
見学できるエリアは比較的被害が小さかった約6万5000平方メートル。
飼育中の115種約680の動物のうち、マサイキリンやアフリカゾウなど27種約130の動物を見ることができる。
植物も温室などには立ち入ることができないが、一部の花壇は観賞できるという。
職員たちは部分再開に向け、動物を紹介する看板を手作りで新調した。
ただ、園内の復旧工事は1月に始まったばかりで、移送された猛獣たちが戻ってくるめどは立っておらず、全面再開にはさらに1年以上を要する。
松本さんは「全面再開に向けて、まずは一歩を踏み出した。
元気な動物たちの姿をみて、楽しんでもらいたい」と子供たちの笑顔を心待ちにしている。(江口朋美)

2017年02月23日 22時41分 The Yomiuri Shimbun