masami71の日記

熊本市在住の71歳の年金暮らしです

「あとぜき」をお願いする貼り紙

「あとぜき」をお願いする貼り紙をしている扉=熊本市中央区
 
熊本県民にはおなじみの方言『あとぜき』。
「ドアや扉などを開けたあと、しっかり閉めること」の意味を指すが、そもそもの語源はどこから来ているのだろうか。「SNSこちら編集局」(S編)取材班で調べてみた。
『あとぜき』は、2020年にS編が実施した「一番好きな熊本弁アンケート」で断トツの1位。
2位の『むしゃんよか(格好いい)』を265票離す498票を得た。

県内の学校や職場で、扉に『あとぜき』の貼り紙を見るのは定番の風景だ。
日本語教育に詳しい県立大の馬場良二名誉教授(67)=熊本市東区=は、ポルトガル人宣教師が学んでいた日葡[にっぽ]辞書(1603年発刊)にヒントがあるとみる。
辞書の中に九州地方の言語として、「戸をせく」という言葉が紹介されている。
「せく」が動詞で「閉める」という意味で使われていたという。

馬場名誉教授は「『あとぜき』の使い始めがいつなのかは分からないが、『せく』自体は17世紀初頭には間違いなく使われていた」と話す。
「開けた後をせく」から転じて『あとぜき』になったのではないかと推測する。
一方、郷土史家の毛利秀士さん(80)=中央区=は、地道な研究の末にたどりついた自説をアピールする。
毛利さんが着目したのは、中央区の第一高グラウンドに面している古墳時代の遺跡「古城横穴墓群」で出土した石のふた「閉塞[へいそく]石[せき]」。
明治時代以降に「塞[そく]」の音読み「そく」が転じて「せく」になった可能性があり、大切な人の墓をしっかりと塞[ふさ]いで「その場をあとにする」ということから、『あとぜき』が生まれたと考える。
毛利さんは「由来は諸説あるが、どれも興味深いものばかり。さまざまある熊本弁の言葉だけでなく、語源までしっかり後世に引き継いでいけたら」と話している。(樋口琢郎)