masami71の日記

熊本市在住の68歳の年金暮らしです

森浩美 作「それでも鳥は空を飛ぶ」

いよいよあと1か月になりました。
今日も11月らしくない寒さです。
NHKのラジオ文芸館は森浩美作「それでも鳥は空を飛ぶ」でした。
森さんの作品は、親子関係を切なくもほのぼのと表現する場面がとても
良い作品です。
今回もアンコール作品で「はたるの熱」と同じく親子の会話が目頭を
熱く感じさせました。

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「それでも鳥は空を飛ぶ」作:森 浩美

2012年8月4日放送のアンコール。
主人公は小学5年の男の子。航空会社に勤めるお父さんは、クレーム
対応の仕事をするようになってから体調を崩して仕事を休んでいる。
男の子は、苦手な算数のテストがある前の夜、ご飯を食べながら
「ああ、明日、休みてえ」と言うと、お母さんに「テストがあるくらいで」
と叱られた。それでつい、「いいなあ、お父さんは休んでばっかりで」
と口走ってしまった…。

語り:神門 光太朗   「家族の分け前」(双葉文庫)収集。
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主人公の家族構成は、父・母・中二姉・小五弟、の4人家族。
お母さんとお母さんの母つまり祖母との話を盗み聞きした主人公。
お父さんはクレーム対応の処理でストレスを受け、うつ状態になってる
のを知る。
母らの話から、お父さんは飛行場で飛行機の離発着を見ることが好きと
知ると、お母さんに本屋さんに行って来るとうそをついて、飛行場に
自転車で向かう。
主人公は父親を見つけると、
「あのさあ、ぼく、いっしょにいたら、じゃま?」
小5の子供が、父親にそこまで気を遣うのは別にして、
話しの中で、父親は
「お前、転校するの嫌がってたし、慣れたところから別のところに
移るのって・・・」

転校生はいじめの対象になりやすいという。
数年前、念願のマイホームを建てはしたものの、父親の心には
息子に負担をかけてしまったという小さなトゲのような負い目が常に
あったのだ。
それに対する息子の答え。
「まあ、いやな奴はいるけどね」
「でも、僕平気だから。それに、やられたらやりかえすし」
それは嘘だ。

それは嘘だ、というのは少年の心の声。
父親を心配させまいとする、やさしい嘘。

結局、この父親は職場に戻ろうと決心するわけだけれど。
この父子の会話の舞台が、飛行場が見渡せる公園というのもよい。
飛行機たちが生き物のように離着陸している。
そのそばにはシートをかぶったセスナ機やヘリコプター。
もう引退したのか、あるいは出番がくるまで休んでいるだけなのか。
そのまま人生の縮図に思えてくる。
クラスの誰かの父親がリストラなどで失業すると、
まわりに隠していても、その子が塾に通い続けることが出来なくなり、
そこから噂になり、失業がばれてしまうとか
父親から将来何になりたいかと聞かれると。
主人公は「将来の夢はゲームクリエイターとか、」
父親は反対しなかった。
最後に鳥のように空を飛びたいと父親はつぶやくけど、鳥はどう思って
飛んでるだろうか・・・。