masami71の日記

熊本市在住の68歳の年金暮らしです

ラジオ文芸館 「オリンポスの聖女」

浅田次郎作『オリンポスの聖女』(2003年 文春文庫  『姫椿』収録)
「オリンポスの聖女」は、学生時代から7年間同棲生活を続け、別れてしまった女性、典子との物語です。
人生において仕事か、夢か、を選ばなければならないときその道が苛酷であることを覚悟して夢を選ぶことができるだろうか。

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「オリンポスの聖女」 作:浅田 次郎
2013年9月7日放送のアンコール。
妻と3人の子供に囲まれ、事業も順調で、幸せに暮らしている主人公。
しかし、彼には忘れられない女性がいた。
学生時代から7年もの間、同棲生活を続けた「典子(のりこ)」だ。
芝居に打ち込む典子から、主人公への愛の言葉はなかったが、二人は確かに愛し合っていた。
しかし典子は、結婚と引き換えに芝居を捨てることなどできなかった。
主人公は、やむを得ず典子を「捨て」て、家庭を得た。以来、典子と会うことはなかった。
それから30年。主人公は、仕事で訪れたオーストラリアのシドニーで、
大道芸人たちがパフォーマンスを競う街に足を踏み入れる。
そこで出会ったのは、白い石像のパフォーマンス。
それを演じる役者が、主人公に、体で語りかけてきた言葉とは・・・・。
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一郎は大学の時、二人芝居を典子とやっていた。
当時、典子は三年生。演劇科で学ぶ学生だった。
彼女の下宿で、顔と髪を除く全身ドウラン塗りの姿で、二人芝居の練習をした。
一郎は彼女を愛した。
ついに典子に一回限りのプロポーズをした。
典子は泣いて言った。「ごめんね」
典子は、役者としての<当時は小劇団に所属>自分を貫く生き方を選んだ。
一郎は典子を捨てざるを得なかった。
いつまでも結婚しない彼は親から説得され結婚した。
その後も、今もずっと典子を愛していた。  
妻と3人の子供と仕事にもめぐまれ順調な生活と言える40代の一郎。
一郎は「運動具屋」と称するスポーツ品店の社長をしている。
古くは祖父、そして義父から仕事を受け継いだ。
妻と子ども三人のどこからみても安定した生活だ。
海外の支店の整理をしながら、現在シドニーにある支店の今後を考えている。
おりしもシドニーオリンピックの開催中であった。
で訪れたオーストラリアのシドニーで、大道芸イベントに遭遇します。
色々な大道芸のなかで彼は、白い石造だと思ったものが、パフォーマンスであることに気がつき驚愕します。
見物客の人々も、それが石像だと思いこんでいるからか、像の前には誰ひとり立つものがいません。
やがて、白い石像がゆっくり動き始め、演じる役者が、体の美しさを完璧なまでに表現しつつ、動きを通して、彼に語りかけてきます。
白い石像が、体で語りかけてきた言葉。
「ありがとう」「あなたをずっと愛しているわ」
典子が求めたものは言葉でなく、体全身で伝えることの可能性。
それに情熱を傾けた典子は、普通の恋人たちのように飽きることもなく
いつも輝いていた。そして今も輝いている。
最後は音響効果も手伝って、目頭が熱くなりました。