masami71の日記

熊本市在住の72歳の年金暮らしです

熊本市出身の医師が開発!医療に革新をもたらす次世代型の聴診器とは【熊本】    


 2023.03.07 18:30

熊本市出身の医師がこれまでにない聴診器を開発。先日、薬事承認されました。
診療の可能性を広げるだけでなく医療が抱える課題も解決できるのではと期待されています。
新しく開発された検査装置『心音図検査装置』。心臓や肺、腸などの音を聴く聴診器の進化系です。
聴診器は病気の早期発見につながる医療現場に欠かせないものですが、誕生から約200年、基本的な構造がほとんど変わっていません。
【AMI 小川 晋平 代表】
「現在の対面診療を超える医療を提供できるのではないか」
『心音図検査装置』を開発したのは、熊本県内と鹿児島市に拠点を置く医療系ベンチャー企業『AMI』です。
※Acute Medical Innovation
代表の小川 晋平さん(40)は熊本市出身で、循環器内科の医師です。
熊本県内の医療機関に勤務していた2015年、たった1人で医療系ベンチャーを立ち上げました。
【AMI 小川 晋平 代表】
「どんどん新しい治療法が臨床現場で確立されている中で、早期発見につながる検査がまだまだ足りていないと感じ、機器を作りたいと思った」

最初は100円ショップで備品を買い揃え、試行錯誤の日々でした。
【AMI 小川 晋平 代表】
「当直室に『はんだごてを使ったらいけない』と書いていなかったので、当直の暇な時に、いろいろ作っていました」
その後、情報電気工学の専門家も事業に招き、これまで数百回の試作を経て開発。
胸部に当てるだけで心電や心音を同時計測できるのが大きな特長です。
上が心電図。真ん中が心音図で下が心音の強さや周波数を表しています。

こだわったのが、音質。いかに高品質の音を出すかとに研究の大部分を費やしました。
高い質の心音だけでなく、それを可視化したものをデータとして残せるのも特長です。
【AMI 小川 晋平 代表】
「人それぞれ視力も違うように聴力も一人一人違う。それを定量的に評価するには、視覚的な評価も必要」
こちらが健康な人の心音、こちらが心臓の弁に異常がある人の心音です。これだけ明確なものは聴診器だけでも診断がつくそうですが、同時に音の形を見ることでより確実なものとなります。
これまでの聴診器は、医師の耳と経験頼りのところがありましたが、データを共有することで第三者の意見も得られ、より多角的な診断が可能となります。
去年、薬事承認され、AIも搭載した診断アシスト機能がついた医療装置機器の開発を進めています。

【AMI 小川 晋平 代表】
「心臓の弁の病気である弁膜症。特に心臓の出口にあって全身に血液を送る大動脈弁が狭くなる。
その病気を早期発見するのが一つ。もう一つは心不全で、今後、超高齢社会が進むと患者がすごく多くなる。
早期発見して治療につなげて予後が少しでも良くなるように」
北海道で研修医として勤めていた時、検査結果を迅速に共有できるシステムの必要性を痛感したことも開発のきっかけでした。
小川さんの熱い思いに賛同し医療、工学の関係者たちが会社に集まり、経験を生かしています。

臨床検査技師
「元々、心臓カテーテル室で働いていたので、興味があって、心音というところで近いと思って入った」

【看護師】
「心臓外科、救急とかやってきた。看護師は24時間ずっと誰かが交代しながらやっているので、自分が聴いた音と他の人が聴いた音が一緒か分からない。それを可視化することで、同じもので同じように判断できるがすごくいいと思っている」
現在は、全国に6つの拠点、約40人の社員を抱えるほどに成長。

【AMI 小川 晋平 代表】
「どちらかというと分かりやすく説明をしてもらいたいと思っていた側。うまく分かりやすく説明できるかはまだ試行錯誤」
病院への説明を小川さんが行うこともあります。

【AMI 小川 晋平 代表】
「心電と心音を一緒に1カ所で取る装置です。セットでノートパソコンも付いていて、IDを入れて情報を管理する」
小川さんはこの装置を遠隔診療でも活用したいと考え、水俣市にも拠点を置いて、行政と病院と遠隔医療の取り組みを進めています。
国は離島やへき地などの医療にICT(情報通信技術)などを活用しねオンライン診療を含めた遠隔診療を盛り込むよう自治体に求めていて、この装置が活躍する日も近いようです。

【AMI 小川 晋平 代表】
「離島僻(へき)地の先生とも意見交換しながら作ってきたが、ニーズは確実にあると感じている」
現在は、大学などの研究機関で利用されていますが、4月からは医療機関向けに販売を広げる予定。
会社代表の小川さん、週1回は医師としても患者と向き合っています。

【AMI 小川 晋平 代表】
「医療現場に立ち続けたい。現場の課題をしっかり肌で感じて、解決策に向けて機器の開発に取り入れたいと常に考えている」海外展開も見据えています。
【AMI 小川 晋平 代表】
「まだ通過点。ハードウエアとソフトウエアは今回、薬事が通った。この後、さまざまなソフトウエアを改良したり、研究開発したり、やっとスタート地点に立ったところ」
1人の医師の思いで開発された医療装置はさらに進化し、医療現場に広がりそうです。