masami71の日記

熊本市在住の68歳の年金暮らしです

ラジオ文芸館 角筈にて 作:浅田 次郎

今朝のラジオ文芸館は、心にしみこむストーリーで、この作品を読み終えたときは感動で一杯でした。

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角筈にて 」 作:浅田 次郎

貫井恭一は、8歳の時に「角筈」のバス停で父に捨てられた。
彼は、親戚に引き取られた後も父を慕いながら、努力を続けた。
一流大学を卒業しエリート商社マンとなったものの、ある失敗から海外の
支店への左遷を告げられる。
海外への出発前夜、送別会後に立ち寄った新宿ゴールデン街の一角で、
彼はかつての姿のままの父を見かける。
そして、翌日、父と不思議な再会を果たすのだが…。 
語り:福井 慎二

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役員昇進を目前にしてプロジェクト失敗の責任を負わされ海外に左遷させられてしまうことになったエリートの恭一。
恭一は幼いころ母をなくし、父の手で育てられた。
しかし小学生だった頃に、新宿・角筈のバス停で父に捨てられるという
悲しい過去をもっている。
その恭一は、ある夜、かつて角筈と呼ばれた新宿・歌舞伎町の人ごみの中に「あの頃の父」を見かけた。
しかもバス停で自分を捨てたあのときの白い背広姿をした父を。幻か…。
恭一には以前、妻を中絶させ、二度と子供がもてなくさせてしまった過去があった。
ブラジルに立つまでの短い間に、様々な場面を思い起こす恭一。
父親の言いつけ通り、猛勉強し一流サラリーマンになったこと、父親に捨てられたあと、叔父夫婦に引き取られ我が子のように育ててもらったこと、自分が親に捨てられたせいで、子供をもつことを拒否し、兄妹のように育った妻・久美子を傷つけてしまったことへの懺悔。
そして、空港に向かうタクシーの窓から恭一は、花園神社に佇む父親の姿を再び目にした。
駆け寄って父に声をかける恭一に振り返った父は…。
隧道のように暗い石畳の、街灯の丸い輪の中に、父はぼんやりと佇んでいた。
白いパナマに麻の夏背広。別れたあの日のままだった。」
父は、恭一に、自分が女のところに走り、恭一を捨てたことを詫びる。
ところが父は、酒の飲みすぎで、恭一がまだ子供の頃に死んでいたのだ。
父は、日本を去る子供に会うために、来世から一時的に戻ってきたのだ。
父は肝硬変で亡くなったのです。
そして、死ぬ前に叔父に恭一のことを頼んでいたのです。
決して恭一を見捨てはしてなかったのです。