masami71の日記

熊本市在住の72歳の年金暮らしです

NHKラジオ文芸館「十六夜髑髏(いざよいどくろ)」

今朝のラジオ文芸館は、耳をそば立てて聞き入り、次の展開はと、いつになく
早く知りたいと思うのですけど、話がポンポン進まないのです。
そして、最後の不気味な効果音がいつまでも、語りが終わっても時間いっぱい
流れました。
ふきが奉公に上がった米屋には,奇怪な言い伝えがあり…,
静かに店の者たちを照らし出す十六夜,すべてを投げ出すように佇む主人…
とにかく,凄絶でありながら,どこか火事の音とくずれていくお店のラスト・シーンが妖しく照らしだされるイメージを感じました。
2015年5月2日
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作:宮部みゆき
江戸を襲った火事で両親を失い、小原屋という米屋に奉公することになった15歳のふきは、先輩女中のお里から、この店には不思議なことがあると聞かされる。
その不思議なことは十五夜の月見の頃にわかる、と丁稚の小僧も口にするのだった。
後にそれは「十六夜の晩、少しでも月の光を浴びると小原屋の当主が死ぬ」ということだと分かる。
そして、いよいよ奉公して最初の十六夜の晩がやってきたのだが…。
語り:村上 由利子
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火事で両親と弟を失くした15歳のおふきは、母方の叔父の紹介で、米屋に奉公することになった。
それまでは煎り豆屋を営んでた家で、それなりの幸福な生活でした。
そして、女中や丁稚小僧に徐々になれていくおふきだった。
同じ部屋で寝起きする二つ上のお里はおふきに謎のような話をした。
十六夜の晩にはあることが・・・・」
ある晩、おふきは尿意に我慢しきれず、厠に入ろうとした時、真っ白い手をした誰かが厠に入っていったのを見た。
おふきはお里にそのことを話そうとするけど、お里は聞く耳を持たなかった。
また、旦那とおみちの関係を感じた。
女中頭のおみちはおふきを呼んで、十六夜月の光が少しでも家に射しこんだら、旦那様の命が無くなると注意した。
おふきは、それはどうしてですか、と尋ねた。
おみちは、初代の旦那様がある人を殺めてしまった。幸いその一件は表ざたにはならなかったものの死ぬ間際にのろいの言葉をかけられ、十六夜月に髑髏が見えるはず、と話した。
ただ、初代の旦那は忠告を無視したため、次の日に亡くなったのである。
二代目、三代目と十六夜の晩は特別な注意をして、月明かりを避けてきた。
十六夜の日、早くから店のすべての戸という戸を厳重に閉めたのだった。
おふきは不気味な怖さを感じながら床についた。が早鐘の半鐘が聞こえた。
そして逃げ惑う人たちの叫びも。
戸を開けなければ逃げられない。
無理やり戸をあけておふきに見えた物とは、ご主人の姿だった。
ご主人は庭に立ち尽くして、十六夜月を見上げていた。
「私はこれで死ぬ。傾きかけた店のためには、私が死ぬ方がかえって良いだろう」と。
主人の顔の白さはおふきが厠で見たふわふわした白い手と同じほどの白さだ。
どの人の顔にも髑髏が浮かんでいた。
初代の旦那が殺した相手とは、ここの主だとおふきは感じた。