masami71の日記

熊本市在住の72歳の年金暮らしです

ラジオ文芸館 大沢在昌:作 「村」

土曜日は「ラジオ文芸館」で大沢在昌:作「村」の朗読がありました。
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日本海側に渓流釣りに行った富田は、湯治場に向かう途中、ある村に迷い込む。
そこで富田は、学生時代からの知り合いの板前に偶然出会う。
板前は、その村で立派な店構えの日本料理店を開いていた。
店で食事をすることになった富田は、その店の常連客が、行方不明の有名な相場師や
広域暴力団会長等、人目につきたくない人ばかりであることを知る。


日本文藝家協会編 現代の小説2010 短編ベストコレクション」(徳間文庫)所収
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この作品は非常に怖い作品だなと思いました。
背景に限界村の抱える衰退を、村が非合法の手段で、村の存亡を救おうとしてるサスペンス小説ですね。
この村には立派な建物が数百メーターに渡って建ってるけど、看板も何も無く、レストランなのか、旅館なのか全然わからないのである。
富田は旅館を探すけど見つからず、そこへ偶然知り合いの板前と出会い、
旅館を探してると告げると、板前の様子がおかしいのに気付く。
板前は自分の割烹に連れて行き、富田の車を隠すようにガレージに入れる。
しかも、割烹の作りが豪華で、酒類の取り合わせも豪華で、客の出入りが無いのに不釣合いを感じる。
富田は料理ができるまで入浴して出た所で、店に電話がかかってきたのを聞いてしまった。
このお店は予約制みたいで、突然予約を入れてきたお客を断り切れず、板前は富田にじっと隠れていて欲しいと・・・・
お客はアウトローの人たちで、暴力団など身を潜めてる人達ある。
それを支えてるのが村である。
村はその人達から資金をもらい、村の住民サービスを行なってるのである。
住民の家の修理なども行なってるとのこと。
にせの戸籍の作成もしてるとか。
板前はその村から雇われてるのである。
怖いサスペンスですけど、非合法的なことをしないと、村は存続不能になるという事を言いたかったのでしょう。