masami71の日記

熊本市在住の73歳の年金暮らしです

ラジオ文芸館 「愛がいない部屋」

神楽坂にある高層マンションを舞台とした短編集。
DVに苦しむ主婦愛子を、かつて同じ悩みを抱えていた老婆咲が手を差し伸べるお話です。
山辺咲の優しさにほろりときました。私もきれいな背中を向けて歩くことができるかな。
「愛」が必ずしも綺麗な言葉ではないのだと感じられる作品でした

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「愛がいない部屋」 作:石田 衣良

須藤愛子は35歳の主婦。3つ年上の夫と10年前に結婚、東京・神楽坂の高層マンションで一見、何不自由ない生活を送っていた。しかし、内心では「人生を決定的に失敗してしまった」と絶望しきっていた。
夫からの暴力と暴言に苦しみながらも、一人で生きていく決心がつかず、悩んでいたのだ。
そんな時、愛子は同じマンションの住人・咲と出会う。咲はたくましく人生を生き抜いてきた女性だった…。
  語り:森山 春香
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
愛子は夫秀行のDVに苦しんでいました。酒を飲んで帰ると、ストレスを愛子にぶつけ、殴る蹴るの暴力を振るう。
おまけに「ここで暮らせるのは誰のおかげだ」と言ってはいけない暴言まで吐く有様。
結婚する前は「優しくて思いやりのある人」と思った愛子でした。
愛子は娘ゆりえをマンションのロビーで見送ると、ロビーにあるカフェで一息をくつろぐのです。
次の日も同じようにカフェで一息をつこうとすると、昨日も見かけた老婆が話しかけてきた。
サングラスをした疲れ切った愛子に、老婆は愛子の心情を見抜いて、すべてを悩みを話しなさい。話すと楽になりますよ。と諭すように促しました。
サングラスの下は夫の暴力の痕がありました。
それから、咲は32階の咲の家に愛子を連れて行きました。
70歳の咲の家は他の家と違って豪華な造りになってました。
そこで、愛子は夫とのなり染などすべてを打ち明けるのです。
咲は夫とか主人とか言わず、パートナーと言う言葉を使い、男はそういうものだと言うのです。
そして、咲は自分の経験から離婚を進めるのです。
咲も夫のDVに合い離婚し、2か所掛け持ちで仕事をし、不倫相手の子供を産み、また再婚した経験がある。
夫はこのマンションに移る前に死亡したとのこと。
愛子は子供がいるので離婚にいまいち踏み込めないと言うのでしたけど、次第に気持ちが前向きになって行きました。
お昼になり、咲は特上寿司を取り愛子にご馳走するのです。
午後2時過ぎ、愛子は娘が帰って来るのでロビーに迎えに行きたいと咲に言うと、咲は買い物に行くから一緒に降りましょう、と言って降りました。
8歳の娘ゆりえはロビーで待っていて、遅いのでむくれていました。
咲が理由を説明すると、ゆりえは「咲ばあ」と呼ぶのです。
咲とゆりえが顔なじみだったので愛子は驚きます。
咲はケーキを買ってくるのでお家へいらっしゃいと言って出て行きました。
咲は予備知識をゆりえから得てたのですね。