masami71の日記

熊本市在住の72歳の年金暮らしです

NHKのラジオ文芸館「小さなレストラン」

土曜日の朝はNHKのラジオ文芸館がありますけど、最近は寝床で聞くことが多くなりました。
きょうは北杜夫さんの「小さなレストラン」でした。
どこにでもあるような日常の生活を切り取り、わかりやすい文章構成で読みやすい小説です。
今回はレストランにどんどん引き込まれ、店主の病気などが判明するなど、読者をうまく吸い寄せていくのがすばらしいです。

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歯の治療中の私は、家から徒歩15分の歯科への道すがら、一軒のほんの小さなレストランを見つける。
ショーウインドーに並ぶ料理に並々ならぬ興味を抱くものの、扉には「本日休店」という木札が下がっていた。
その後も、店を気にしつつ歯の治療を続けたが、道中では相変わらず「本日休店」の札がかかる。
そんなある日、目に入った「只今準備中」に胸を躍らせ、歯科での治療後、店へと向かった。
期待と不安を抱えレストランの扉を開くと、そこは見るからに安食堂。店で一番高価な「ビフテキ」を注文するが、果たしてその味は…。
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レストランにはカウンターと4つのテーブルがあるだけで、お客は誰もいなかった。
店主の奥さんが注文を取りに来て、私はこの店で一番高い1500円のビフテキを注文した。
しばらくして、青年が入って来てカウンターに座て新聞を読み始めた。
奥さんは注文を取らない。
次にお客が来て、品目にないカレーライスを注文する。
カレーライスもあるのだと私は思う。
かなり時間が掛かってビフテキが運ばれて来る。
その味は、ビフテキ自体の味はおいしくないのけど、ソースの味と絡むとおいしかった。
カウンターに座っていた背年は、何も食べず出て行った。
それから、私は歯科への帰りにまたレストランに寄ってビフテキを注文したのだが,きょうはコックが居なのでビフテキが出来ないとのことで、カレーを注文をした。
カレーの味はどこにでもある普通だった。
それから、歯科治療も落ち着いて、私は海外出張などでしばらくしてレストランに行った。
きょうはコックがいるみたいで、私はビフテキを注文した。
でも、私は以前見た後姿のコックとどうも違う見たいと思った。
ビフテキが運ばれてきて、私は食べてまずいと思った。
調理してたコックは前と違って、新聞だけ読んで出て行った青年だった。
店主のコックは体調が悪く、紆余曲折あって代わりに息子が引き継いでいた。
私はお店の休みが多いのを納得して、ビフテキを少し残したのを気兼ねしながら、
若いコックが生長するのを祈って店を後にした。