炎の輪、幻想的に参道彩る 阿蘇神社「火振り神事」 五穀豊穣を願う
阿蘇神社の参道で繰り広げられた火振り神事。右奥は復旧工事中の楼門を覆う素屋根=15日夜、阿蘇市(上杉勇太)
熊本県阿蘇市一の宮町の阿蘇神社で15日夜、伝統の「火振り神事」があり、五穀豊穣[ほうじょう]を願う炎の輪が、暗がりの参道を幻想的に彩った。
火振り神事は、12日に始まった田作祭[たつくりさい]のクライマックスで、国指定重要無形民俗文化財「阿蘇の農耕祭事」の一つ。
農業の神である国龍神[くにたつのかみ]との婚礼を迎えた姫神を、地元住民らがたいまつの明かりで歓迎したことが起源とされる。
午後7時ごろ、約10キロ西の吉松宮(同市)から姫神のご神体が参道に到着すると、氏子らは約400本のカヤ束にそれぞれ火を入れ、豪快に振り回して出迎えた。観光客の火振り体験は4年連続で中止された。
田作祭は18日に、神職が耕作を演じる「祭りあげ」で締めくくる。(小田喜一)