masami71の日記

熊本市在住の72歳の年金暮らしです

済生会熊本病院の「そのとき」

副院長 脳神経外科部長 教育・研究部長 西 徹
エコノミークラス症候群予防の啓発活動にも注力
当院は三次救急医療機関の一つです。
前震・本震では水漏れ、亀裂、機器破損などの被害はあったものの、建物やライフラインの影響は比較的少なく、本震後も電気は4/16の午前3:40に、ガスは午後0:10に復旧しました。
発災後すぐに立ち上げた災害対策本部の指揮のもと、各トリアージブースや各部門での対応を行いました。
前震時(4/14〜15)は189名の患者を受け入れましたが、その中には倒壊家屋による圧死者も含まれました。
また、本震時(4/16〜17)は493名の患者を受け入れました。
特に4/17朝からは肺塞栓(エコノミークラス症候群)の患者が集中して来院しました。

研修医は自主参集し、各トリアージブース、救急外来などでの対応を行いました。
また、自主的に交代で救急外来のトリアージ担当も行ってくれました。
日頃の災害対策訓練が生かされた瞬間でした。
地震発災直後にDMATも派遣しました。
益城町倒壊家屋、東病院支援、阿蘇の非指定避難所巡回の3隊で活動しました。
さらに9回の避難所訪問を行い、保健師や予防医療センター医師、感染チームが参加しました。
また、エコノミークラス症候群を防ぐためのDVTエコー班派遣も長期的に行いました。
研修医も避難所訪問に積極的に参加し、エコノミークラス症候群の周知活動を精力的に行いました。
済生会グループ各院から救護班の人的支援や多くの救援物資を頂き、県内42施設へ物的支援を行うことができました。
そのようなサポートの中でも、災害時にはどのような状況下でも、その時点でできる限りの医療を継続し続けなければならないと実感しました。
そのためには、日頃から災害に強い病院作りが必要です。
建物などのハード面、そして人の教育・訓練を含めた、総合的な対応力のさらなる育成の必要性を感じました。
そして研修医にとっては、医師としてリーダーシップの重要性を知ることができたと思います。
日頃の訓練などの準備を大事に、この経験を生かして非常時にも強い医師として育ってくれるはずです。