トルコ・シリア大地震 4万3000人以上の死亡確認【17日の動き】

トルコ南部のシリア国境近くで6日発生した大地震では、これまでに4万3000人以上の死亡が確認されています。国連は16日、トルコに対し、今後3か月分の支援として10億ドル、日本円にしておよそ1340億円を拠出すると明らかにし、国際社会に協力を求めました。

国際緊急援助隊の医療チーム 現地で本格的な診療開始

 
避難生活が長引く被災者の健康をどう維持していくかが課題となる中、日本の国際緊急援助隊の医療チームが現地で本格的な診療を始めました。

医師や看護師など75人からなる日本の医療チームは、地震で地域の中核病院が壊れる被害などを受けたトルコ南部ガジアンテプの郊外に入り、地元の職業訓練校に設けられた臨時の医療拠点に診療用のテントを設営しています。

チームは16日から外来患者の受け入れを始め、17日も次々に訪れる住民に対して症状を聞いたり、血圧を測ったりするなどの対応に追われていました。

体調を崩した1歳の男の子を連れてきた父親は「地震が起きてから初めて病院に連れてくることができました。親切な対応に感謝しています」と話していました。

今回の医療チームは、手術を行ったり、入院患者を受け入れたりすることができるということで、テント内に手術室などを設けるための準備も進めていました。

医療チームの石原猛団長は「地震でけがをした人の対応だけでなく、失われた地域の医療機能を取り戻し、震災でつらい思いをしている方をサポートしたい」と話していました。

建築の専門家「倒壊した建物の多く 柱の強度不足」

 
地震による被害が相次いだトルコ南部での救助活動に同行した建築の専門家がNHKの取材に応じ、倒壊した建物の多くが、柱と柱の間にはりがない「フラットスラブ構造」だったとした上で、柱の強度不足も原因の1つだと指摘しました。日本でも古い耐震基準の建物では比較的強度が弱い柱もあるとして、耐震化を進めるべきだと話しています。

構造設計一級建築士の一條典さんは、国際緊急援助隊の救助チームのメンバーとしてトルコ南部の被災地・カフラマンマラシュで活動し、15日帰国しました。

一條さんが17日、NHKの取材に応じ、撮影した写真などをもとに活動した地域での建物被害の状況を分析しました。
現地では、柱が壊れ建物が垂直に潰れるように崩れる「パンケーキクラッシュ」と呼ばれる壊れ方をした建物が多く見られましたが、その建物の多くは柱と柱の間にはりがない、「フラットスラブ構造」だったと指摘しました。この構造だと建物にはりがないため、床と床が重なるように崩れやすく、建物の中での空間が少なく救助活動が難しくなるということです。

一條さんは「フラットスラブ構造は日本では少ないが、比較的簡単に作れるためトルコで多いのかもしれない。ただ、強度を成立させるにははりがある構造よりも技術が必要だ」と話しています。

さらに10階建ての共同住宅が倒壊した現場では、鉄筋コンクリートの柱を解体した際、むき出しの鉄筋だけが残っている様子が見られました。鉄筋とコンクリートの付着力が弱いため、こうした現象が起きるということで、一條さんは柱の強度が低かったことが建物の倒壊の原因の1つだと分析しています。

一條さんは、「日本では耐震の取り組みが進んでいるが、古い基準の建物もまだまだ残っている。特に1970年代以前の建物は柱のつくりが今の基準と比較すると比較的弱く、直していく必要がある」と述べ日本でも耐震化を進めるべきだと話しています。