masami71の日記

熊本市在住の72歳の年金暮らしです

球磨川にたくさんの野鳥 

球磨川にたくさんの野鳥 <KUMAMOTOとりさんぽ>
豊かな自然あるからこそ
熊本日日新聞 | 2023年7月15日 08:00


大きな口で餌をまつツバメのヒナたち

人吉市の市鳥ヤマセミ
 山やまや丘おかに囲かこまれた人吉盆地ひとよしぼんちは、相良藩さがらはんの町並まちなみが残のこる小京都しょうきょうとの風情ふぜいの中なかに日本三大急流にっぽんさんだいきゅうりゅうの清流球磨川せいりゅうくまがわが流ながれ、国宝こくほう「青井阿蘇神社あおいあそじんじゃ」が1200年ねんを超こす歴史れきしを積つみ上あげています。

 ふるさとに帰かえり城跡しろあとの石垣いしがきを映うつした穏おだやかな流ながれの川面かわもに目めをやると、ツバメが飛とび交かい、空中くうちゅうの小ちいさな虫むしを捕とらえていました。空中生活くうちゅうせいかつに適てきした口くちばしは横よこに広ひろく、足あしは短みじかくて飛とぶときは飛行機ひこうきのように格納かくのうできます。子育こそだて真まっ最中さいちゅうの野鳥やちょうたちは、餌えさをとっては何度なんども巣すに運はこんでヒナを育そだてます。下流かりゅうに歩あゆみを進すすめると、ゴーゴーと音おとを立たてる流ながれは速はやくなり水みずしぶきがあがります。すると浅あさくなった流ながれの瀬せに、ハトより大おおきなヤマセミが豪快ごうかいに突つっ込こみました。なんと20センチくらいのハエ(オイカワ)を捕とらえ、大おおきなくちばしに挟はさんだ魚さかなを右みぎへ左ひだりへと石いしに打うちつけたあと、巣すの方ほうへと飛とび去さって行いきました。多おおくの人々ひとびとが生活せいかつする街中まちなかで共ともに生いきるヤマセミの姿すがたはとても貴重きちょうで、自然環境しぜんかんきょうが豊ゆたかであるからこその光景こうけいです。

水辺で水を飲むカワラヒワ

球磨川中流域で生活するイカルチドリ
 石いしが集あつまった中州なかすでは、カワラヒワが草くさの種たねをついばんでいました。体からだはスズメくらいの大おおきさで、飛とぶと翼つばさの黄色きいろが美うつくしく、短みじかい口くちばしは丸まるくとがって硬かたい種子しゅしでも割わってしまいます。しばらくすると喉のどが渇かわいたようで、水みずを飲のみ始はじめました。まさに河原かわらにいるヒワの姿すがたにしばし見みとれました。

 その後うしろをチョコチョコとスズメより大おおきなイカルチドリが足早あしばやに駆かけぬけました。県内けんないの大おおきな川かわでも中流域ちゅうりゅういきに生息せいそくするチドリですが、限かぎられた場所ばしょでしか出合であえません。小石こいしの間あいだに卵たまごを産うんで子育こそだてをしますが、近年きんねんは豪雨ごううで急きゅうに増水ぞうすいすると卵たまごが流ながされる悲劇ひげきもおきています。城跡しろあとの下流側かりゅうがわに立たっている歌碑かひには「かわちどり 鳴なけば見みおろす球磨川くまがわの 瀬せの音おとたかし霧きりのそこより」と彫ほられています。おそらく冬ふゆもこの地ちに生息せいそくするイカルチドリのことだと思おもいます。実じつは、人吉ひとよしの冬ふゆは日本にほんで一番霧いちばんきりが発生はっせいすることでも有名ゆうめいです。私わたしが子こどものころは、霧きりの街まちである「日本にほんのロンドン」と言いっていたことを思おもい出だしました。



球磨川が流れる人吉市
 さて、2020年ねんの熊本豪雨くまもとごううではJRの線路せんろも流ながされ、肥薩線ひさつせんの「特急とっきゅうかわせみやませみ」号ごうも運行うんこうできなくなりました。人吉市ひとよししの鳥とりはヤマセミ八代市やつしろしの鳥とりはカワセミに指定していされ、市民しみんからも愛あいされています。一歩いっぽずつの歩あゆみでしょうが一日いちにちも早はやい復興ふっこうを心こころから願ねがいます。(日本野鳥にほんやちょうの会県支部長かいけんしぶちょう・田中忠たなかただし)