masami71の日記

熊本市在住の72歳の年金暮らしです

ラジオ文芸館 伊集院静作 「切子皿」

今朝は久しぶりに20度を下回り涼しい朝になりました。
今日のラジオ文芸館は父と息子の関係、夫婦と親子を微妙に描写してる小説です。


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「切子皿」作:伊集院 静

2012年6月16日放送のアンコール。
主人公・小栗正一は20年以上も音信不通の父・正造を京都に訪ねていく。
母親の遺した土地を相続するのに父親に許諾の印をもらうためだ。
父・正造は生きていれば63歳になるはずだ。
正一が父と暮らしたのは高校生のときまでで、父は母と正一を捨てて家を出て
しまっていた。
正一は、母親の友人から、正造が生きていて京都で仕事をしていることを知らされる。
そして、自分たち母子を捨てた父親の、かつて野球チームのエースとして活躍した
輝かしい時期の姿が次第に明らかになっていく。
不器用な父親と息子の久しぶりの再会、ほんの数時間の中に込められた二人の思いは……。

受け月」(文春文庫)所収   語り:青沼 郁夫
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正一には小さい時、父との思い出がありました。
野球場に連れていかれ、野球を見て、ロッカールームのような部屋に
連れて行かれた。
そこで、父の知り合いの大柄の人と握手をし、野球ボールにサインしてもらい
そのボールを持ってお寿司屋さんに連れて行かれ、おいしいお寿司をご馳走に。
母のみやげの寿司折をもって帰宅した。
父と母は会話が少ない。父がいないときの母は明るい声なのに、父がいると暗い声になる。
それから2人はいさかいを起こし、母に暴力をふるう父。正一はもらって帰ったボールを
父にぶつけるが当たらず戸に当たり跳ね返る。
父は家を出た。
母は品川の駅弁屋で、女手一つで頑張って正一を育てたのです。
その母も亡くなりました。
遺品を整理していたら、土地の登記証が見つかった。妻は喜んでいたが、20年以上
音信不通で絶縁状態の死んだと思っていた父が生きているという話を聞いたため、
父の承諾がなければ土地は自分たちのものにはならない。
正一は、父に判を貰うため京都に出かけた。
父は警備員していて、約束時間に1時間遅れてきた。
その父と話す。正一息子の名前を知っている父に驚く。
その息子に何か買ってやれと1万円を手渡される。
結局、話そうと思っていたことは話せず別れてくる。
父のことは否定しかできなかった正一だ。しかし久しぶりにあってみて、自分の
生き方を変えていない父が少し好きになった。
自分を失いかけている自分に思い当たっていた。
正一は正一の妻とは、なんかちぐはぐなものを感じつつ日常を送っています。
息子は今度中学を卒業。しかし高校へは行かないという。
「板前になりたい。自分の人生だからいいだろう」と息子。
正一は父の昔の記憶がよみがえる。
父が連れていってくれた寿司やで出てきた「切子」の皿。主人は説明した。
ひとつひとつ全部違う色合いなんですよ。ガラスに青く流された色。金の縁取りが、
テーブルに映えて きれいだった。
どんなに遠くにいても、どんなに仲が悪くても、完璧には家族という関係は切れないものです。