masami71の日記

熊本市在住の72歳の年金暮らしです

ラジオ文芸館 「冬の一等星」

今日も蒸し暑い日が続いてます。
夕方雨がぱらっと降りましたけど、余計に蒸し暑くなりました。
昨日は、ラジオ文芸館で「冬の一等星」の朗読がありました。
【作】三浦しをん【朗読】岩槻里子
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社会人になっても子供のころからの癖である、車の後部座席で
眠るのが好きな「私」。
夢を見られるし、何より懐かしい記憶を呼び起こされるから。
それは八歳の冬の日に、車ごと「誘拐」された時の記憶。
その時に見た全天の星空と、伝わることは確かにある、と信じら
れた瞬間。
あの日以来、夜道を照らす一等星のように、私の胸のうちには
強く輝くものが宿っている・・・。

「きみはポラリス」(新潮文庫)所収
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現実離れした、ありえないお話ですけど、空想世界の中にこんな
ことが起きればと、心の奥に密かに思ってるのかも。

ほんのひととき一緒に過ごした文蔵と8歳の映子。
そんな文蔵の存在が映子にとっての一等星。
「私」こと映子は文蔵と過ごした時のことを思い出して時々車の
後部座席で寝る。
「私」が八歳の冬のことだった。母親の車の後部座席に忍び込んで
寝ていたら、いつの間にか知らない男の人が運転をしていた。
文蔵と名乗るその男は、「私」がいることを知らずに車を盗んだよう
だった。
車を盗んだあと、女の子が起きます。
これは、結果として、誘拐となりました。
その男は、何らか別の犯罪にかかわっているのか、
後ろ暗い面を持っているのですが、
女の子に対しては親切で、なにげに魅力的で、
星の名前なんかを教えたり、ちょっとしたやりとりが、
怖い中で不思議と女の子に安心感をもたらします。
女の子は文蔵がトイレに行ってる時に、近くの売店に逃げれば、
逃げられたのに、それもしなかった。
親子のふりをして、手を握ったりする場面もあり、
別れるときの段取りも男はちゃんとしてあげます。
最後、車に女の子を置いて、男はタクシーに乗って行ってしまいました。
女の子は、家族からおおいに心配され、
警察では、性犯罪がなかったか、それとなく質問されたり、いろいろです。

女の子は、フツウに恋愛する年齢になっても、
まだ、車のなかで眠るのが好きで、
心のどこかで、その男がまた現れて、
自分をどこかへ連れ出してくれないかと
夢想してしまうというお話です。
ただ、冬にガレージに留めてあっても、車の中は大変寒くて、
セーターに、毛布に包んだけで寝られるのは疑問ですけど、
それを言えば、作品のメルヘンチックな雰囲気が
壊されますので・・・・